RTX 4070 SUPER換装後にPINログイン不可。Z390環境での修復記録

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ASUS TUF Z390-PLUS GAMINGでGPUと電源を刷新したらWindows 11のPINログインが壊れた話

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ASUS TUF Z390-PLUS GAMINGでGPUと電源を刷新したらWindows 11のPINログインが壊れた話

RTX 2070 SUPERからRTX 4070 SUPERへの移行と電源交換を行ったところ、Windows 11 Proの起動時にPIN(Windows Hello)が使えないエラーが出るようになりました。
本記事は、その原因の整理から解決までの流れを、私の環境で実際に起きたことを中心に記録した体験談です。

1.原因の整理(何が起きていたのか)

今回のトラブルは、ハードウェアの故障でも、Windows 11 Pro自体の破損でもありませんでした。
複数の構成変更が同時に重なったことで、Windows側の認証情報に不整合が生じていたというのが実際のところです。

もともとの構成は以下のとおりです。
ASUS TUF Z390-PLUS GAMING。
CoolerMaster V750 Gold 750W。
GeForce RTX 2070 SUPER 8GB。

この構成で、Windows 11 Proは安定して動作していました。
ここから、GPUの性能向上を目的としてGeForce RTX 4070 SUPERへ交換することにしました。
当初は電源をそのままCoolerMaster V750 Gold 750Wのまま使用する想定でした。

しかし実際には、この構成ではRTX 4070 SUPERが起動しませんでした。
電源を入れても画面がまったく表示されず、ASUSのロゴやキー操作を受け付ける最初の画面すら出ない状態でした。
ファンは回るものの、Windowsが起動する以前の段階まで進まない挙動でした。

電源容量だけを見れば750Wは理論上不足ではありません。
ただしRTX 4070 SUPERは12VHPWR(12V-2×6)世代のGPUであり、電源側の世代やケーブル仕様との相性が影響する可能性があるようです。

そこで、起動実績のある電源として用意していたCoolerMaster VITA-1000GMに電源を変更しました。
この電源に交換したところ、RTX 4070 SUPERは正常に起動し、画面表示も問題なく行われるようになりました。

結果として、構成は次のようになりました。
ASUS TUF Z390-PLUS GAMING。
CoolerMaster VITA-1000GM。
GeForce RTX 4070 SUPER。

この時点で、ハードウェアとしては正常に動作している状態になっています。
その後、RTX 4070 SUPERをZ390環境で安定動作させるため、BIOS設定を見直しました。
具体的にはSystem Agent(SA)Configuration内の「Above 4G Decoding」を有効にしています。

この設定自体は、Z390環境でRTX 40シリーズを使う際によく言及されている項目です。
実際、GPUの動作や表示に問題はありませんでした。
ところが、このBIOS設定変更とハードウェア構成変更を行った直後から、Windows 11 Proの起動時に異常が発生しました。
再起動するたびに「問題が発生したため、暗証番号(PIN)を使用できません」「暗証番号(PIN)をもう一度設定してください」という画面が表示されるようになったのです。

構成変更でPINエラー地獄。PowerShellでNgcフォルダを削除し解決

2.今回の結論(最終的にどうなったか)

結論から書きます。
原因はWindows Hello(PIN認証)の内部データが破損、もしくは整合性を失っていたことでした。

設定画面からPINを削除しようとしても、「削除」ボタンが選択できませんでした。
PINの「設定し直し」はできるものの、再起動すると再び同じエラーが表示されるという完全なループ状態に陥っていました。

構成変更でPINエラー地獄。PowerShellでNgcフォルダを削除し解決

最終的には、管理者権限でPowerShellを使用し、Windows Helloの情報を保存している領域を直接削除することで解決しました。
この操作を行ったあとに再起動すると、PINエラー画面は表示されなくなり、パスワードで正常にログインできる状態に戻りました。
つまり、GPUや電源、BIOS設定は正しいまま、Windows側の認証情報だけをリセットすることで問題が解消したという結果です。

3.体験談(実際に行ったこと)

ここからは、実際に行った作業の流れを書いていきます。
RTX 2070 SUPERからRTX 4070 SUPERへの交換は、性能面では大きな進化です。
一方で、Z390という世代の古いチップセットとの組み合わせになるため、事前に情報を調べました。

調べてみると、Z390環境でRTX 40シリーズを使う場合、Above 4G Decodingを有効にする、PCIe世代は自動設定で問題ない、Re-Size BARはZ390では基本的に気にしなくてよい、といった情報が見つかります。
これらは環境やBIOSバージョンによって挙動が異なるようですが、私の環境ではAbove 4G Decodingを有効にする判断が妥当だと考えました。

BIOS設定後、Windows自体は起動します。
GPUも正常に認識され、RTX 4070 SUPERのファンが回っていないのもZero RPM仕様による正常動作でした。
しかし再起動すると、必ずPINエラー画面が表示されます。
画面の案内に従ってPINを設定し直しても、再起動すると同じエラーが再発しました。

設定画面を確認すると、PINの項目は存在するものの、「削除」ボタンがグレーアウトして選択できない状態でした。
この時点で、単なる設定ミスではなく、Windows Helloの内部状態が壊れている可能性を疑いました。

GPU・電源交換でWindows 11のPINが壊れた!解決策と原因の実録

なお、ここから先で行っている操作は、Windowsの内部データ(レジストリやシステム管理領域と密接に関係する部分)を扱うものになります。
Microsoftが一般ユーザー向けに推奨している操作ではなく、環境によっては予期しない影響が出る可能性があります。
本記事では、あくまで「私の環境ではこの方法で解決した」という体験談として記載しており、実行される場合は自己責任で判断してください。

調べてみると、Windows HelloのPIN情報は次のフォルダに保存されているようでした。
C:\Windows\ServiceProfiles\LocalService\AppData\Local\Microsoft\Ngc

私の環境では、管理者権限でPowerShellを起動し、次のコマンドを実行しました。
まず所有権の取得と管理者権限の付与を行いました。
続いてRemove-ItemでNgcフォルダを削除しました。

takeown /f C:\Windows\ServiceProfiles\LocalService\AppData\Local\Microsoft\Ngc /r /d y
icacls C:\Windows\ServiceProfiles\LocalService\AppData\Local\Microsoft\Ngc /grant administrators:F /t
Remove-Item -Path “C:\Windows\ServiceProfiles\LocalService\AppData\Local\Microsoft\Ngc” -Recurse -Force

この操作を行ったあとにパソコンを再起動すると、それまで毎回表示されていたPINエラー画面は表示されなくなりました。
Windows 11 Proはパスワードで正常に起動し、その後は必要に応じてPINを新しく設定できる状態になりました。
結果として、GPUや電源、BIOS設定には一切手を戻すことなく、Windows Hello(PIN認証)に関する不具合だけを解消することができました。

参考リンク(事実確認用)

Microsoft公式:Windows Hello 概要。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/security/identity-protection/hello-for-business/hello-overview

ASUS公式:TUF Z390-PLUS GAMING サポート。
https://www.asus.com/jp/support/

NVIDIA公式:GeForce RTX 4070 SUPER 関連情報。
https://www.nvidia.com/ja-jp/geforce/news/geforce-rtx-4070-super-game-ready-driver/

この一連の作業を振り返って感じたのは、問題はハードウェアではなく、Windowsが以前の状態を強く保持していたことだったという点です。
GPUや電源を一気に更新する場合、OS側で思わぬところが引っかかることがある。
今回の体験が、同じような構成変更を考えている方の参考になれば幸いです。

RTX 4070 SUPER換装後にPINログイン不可。Z390環境での修復記録

Q&A

Q.RTX 4070 SUPERがV750 Gold 750Wで起動しなかったのは故障ですか。

A.断定はできませんが、電源世代やケーブル仕様との相性の可能性は考えられます。

Q.VITA-1000GMに変更した理由は容量ですか。

A.容量というより、RTX 4070 SUPERの起動実績がある電源だったためです。

Q.BIOS設定を元に戻す必要はありましたか。

A.私の環境では必要ありませんでした。

Q.Windowsを再インストールする必要はありましたか。

A.ありませんでした。

Q.同じ症状が出たらこの方法を必ず使うべきですか。

A.Windowsの内部領域に関わる操作になるため、内容を理解したうえで自己責任で判断する必要があります。

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